元編集者ノミーの、おすすめ絵本選び

子どもの雑誌の編集をしていたわたしノミーがお子さんにぴったりのおすすめ絵本・児童書を紹介します。

元編集者ノミーの、おすすめ絵本選び

子どものために本を選ぶときに大切にしたいこと

 

わたしが子どもの本を選ぶときに大切にしていることをまとめてみます。

自分のポリシーを忘れないためにも! 

 

 

 

イムリーなものを

わたしは、本は子どもの生活や体験をより豊かにするための入り口だと思っています。

本の世界と、子ども自身の生活とがゆるやかにつながっている状態が、本の世界の想像力や新しい知識も、実際にする体験も、増幅していくように感じるからです。

 

それは、生活習慣系の本(トイレとか歯磨きとかおやすみとか)や、リアルな図鑑系の本、道徳的なメッセージ強めの本(いじめダメ、仲良く順番、みたいな)だけを選ぶという意味ではありません。

 

わたし自身はファンタジーが大好きで、そういうリアリティ系の本はほとんど読まなかったのですが、本のなかで疑似体験した感情や気持ちは、現実世界で自分の気持ちを客観的に理解するのにとても役立ちました。

というか……先に本の中で初めて出会った感情を、あとで現実世界で経験することも多かったです。

冒険者が猛ダッシュして胸が苦しいというシーンを読んでいて、その後のマラソン大会で初めての長距離を走り、「はく、はく、すう、すう」で呼吸をしながらどんどん胸が苦しくなってきて「ああ、そうか! これがあの本に出てきた胸が苦しいってやつなんだ! すごい!」と初めて体感したことを今でも覚えています。

 

前置きがながくなりましたが……

子どもの今の生活や興味をじーっと観察して

もしかしてこの本なら

今の●●ちゃん、●●君が

実体験と重ねてくれるかなとか

遊びがもっと楽しくなりそうだなという本を

今まさにタイムリーに選ぶことを心がけています。

そうすれば、本と生活の間をいったりきたりできるんじゃないかと思っています。

具体的には…

・好きなものはなにかな?

・最近はじめて体験したこと、はじめて見るもの、初めて知ったことはあるかな?

・季節のものなど、目にする機会が多いものはあるかな?

などを観察し、その世界が少し広がる、または方向が変わるなど半歩くらい踏み出せる内容のものを選びます。

月齢や対象年齢、発達よりも興味関心を重視します。

 

自分で本を選べる年の子どもにも、わたしは「この本おすすめだよ」って紹介してみたい。

自分でいつも選ぶ大好きなシリーズものももちろん素敵。

だけど、客観的に自分のことを一生懸命考えて選んでもらった本の中にもきっと新しい世界ってあるんじゃないでしょうか?

それは大人も子どもも同じですよね、きっと。

 

わたし自身が面白いと思うものを

本を読むとき、大人も子どもも平等だと思っています。

子どもの本だから、赤ちゃんの本だから、大人にとって面白くないってことはないと。

いないいないばあ、みたいな内容であっても。

いないいいないばあ自体は大人にとってはそんなに楽しい遊びじゃないかもしれないけれど、絵が素敵だなとか、日本語のリズムがいいなあとか、ページをめくるテンポがいいなあとか、紙の質感がいいなあとか、大人でも心に響く本ってあるじゃないですか。

そういうのを選びます!

 

同じ本の感動を大人も子どもも一緒に共有する体験は、お互いに様々な価値観に触れる豊かな経験になると信じています。

この本何がおもしろいんだろうな~(笑)まあ子ども好きだしいっか~(笑)

↑あえて悪意をもった書き方してますが

みたいなある意味投げやりで上から目線な態度では、一緒に本を読んでいてもつまらないですよね。

それに読み聞かせをしていても、そういうのって子どもに伝わるんじゃないかと。

 

わたしは赤ちゃんの頃から自分で本を読める小学6年生まで父親に毎晩読み聞かせをしてもらっていましたが(ズッコケ3人組を何週間もかけて読んでもらうという。父の根気強さに脱帽……)本を読んでいる時間だけじゃなくて、本の感想を言い合ったり、この本好きとか嫌いとかを話したりする時間がとても好きでした。

平等な感じがすごくして、大人になれたというか、自分を認めてもらえているというか、とにかく肯定感にあふれた時間だったんです。

 

いつだって本は大人が子どもに与えるものではなく

子どもが保育園で大好きになった本を、大人に紹介してくれることだってあるのです。

大人でも自分では思いもよらなかった発見がその本にはあるかもしれないし

たとえ面白いと思えなかったとしても、子どもの本だからね~と目の端においやるんじゃなくて、心がいいと感じるものそうじゃないものの違いを客観的に見つめる機会としてとらえると、子どもも大人も気持ちを尊重し合える気がします。

 

本は、一方的に与えるものではなく、一緒に共有するものだという前提で、本を選んでいます。

 

具体的には……

内容が好き、絵や写真が好き、日本語のリズムが好き、本の大きさとか質感とか重量が好き、へえ~なるほどな~って思ったページがあるなど。

あとは単純にこの本おもしろい!って思うもの。

 

なるべく新しいものを

これは完全にわたしの好みというか、姿勢の話なのですが

絵本ってやっぱり昔からずーっと売れているベストセラーが強かったりしますよね。

やっぱりいいものは時を超えていいってことは間違いのない事実だと思います。

実際に子どもと読むと、子どももすごく喜ぶ。やっぱり名作は間違いないなあと思うわけです。

時代を超えて同じ本を大人と子ども共有できるのも本の素晴らしいことだし、それは、昔からの本好きの大人としてはじわーっと感動できる瞬間ですよね。

 

それと同時に、ベストセラーが売れ続けるのは、選んでいる大人も安心だからという側面もあるんじゃないかなあと。

自分が知っている本、自分が昔好きだった本は、なんだか安心しますよね。

内容もちゃんとわかっているし。

 

名作というのは大人が自然と選びがちな気がします。

だからこそ、新しい本の発掘をどんどんしていきたいな! というわたしの挑戦の気持ち。

名作だからその子にとっていい本なわけでは決してなく(その確率はとても高いとは思うのですが)、その子に合っているからその子にとっていい本なんだと思うのです。

ぜんぜん売れていない本でも、子どもが大好きな本ならその本はその子にとって素晴らしい。

その子にぴったりなオーダーメイドな本選びをするためにも、ベストセラーにとらわれず、どんどん新しい本に私自身も出会っていきたいです。

もちろん、ああ! 今のキミにはこのベストセラーがぴったりね! というときは堂々とそれを紹介しますが、選んだ理由が「ベストセラーだから」にならないようにしたいです。

 

具体的には……

・発行年数が2000年以降のものを積極的に読んでみる!

・出版社にもとらわれない! いわゆる老舗じゃなくてもいい!